iZotope Vinyl徹底活用ガイド:ローファイの魔法をビートに

目次
iZotope Vinylの歴史
iZotopeっていう2001年創業のオーディオテック会社が2004年にリリースしたのがiZotope Vinyl。これ、無料で使えて、昔のレコードみたいなローファイ感とか、エモいノイズをプラグイン一発で足せるやつ。登場以来アップデートも重ねてて、ビートメイカーなら持ってて損しない定番アイテムだな。
Vinylのインターフェイスざっくり紹介
Vinylには主に6つのコントロールがある。
- Year:どの年代のレコードっぽい音にするか決める。1930年代から2000年代まで。古い年代に近づけるほどノイズや歪みが増えていく。
- Wear:レコードの「使い古し感」を出すノブ。上げるとバキバキにノイズやクラックル、倍音歪みが入る。
- Mechanical Noise:ターンテーブルのモーターとかのガタガタ音。地味だけどアナログ感強くなる。
- Electrical Noise:プレーヤーのアンプとか配線から出る電気ノイズ。地味メニューだが押さえとこう。
- Dust:盤面に乗ったホコリ由来のプチプチ音。上げすぎ注意。
- Scratch:傷によるひっかき音。リズミカルに「プツッ、プツッ」って飛ぶ感じも演出できる。
DAWに導入する手順
- Vinylプラグインをインストール。
- DAWで新規オーディオトラックを作る。
- そのトラックのインサートエフェクトにVinylを挿す。
- ローファイ加工したい音源(ドラム、ボーカル、サンプルなど)を流し込む。
この時点でもう音いじれる。
Vinylでできるクリエイティブ技
- ローファイドラム:ドラム全体やキック/スネア単発にかけてみ。Wear、Dust、Scratch上げたりしてエモい質感出せる。
- ヴィンテージボーカル:ボーカルにかけてみると、昔のレコードっぽい “チリチリ感” が出る。Yearノブで時代感を細かく調整。
- アンビエントテクスチャ:Padとかストリングス、持続音に掛けて、Mechanical/Electrical系のノイズも混ぜると空間感UP。
- レトロなベースライン:BassトラックにWear足すと、ほんのり倍音歪みも入って太さと味が増す。
- 歪んだリード:Synth Leadやギターにもあり。Year下げて外し気味にすることで、チープ&ローファイな味わい。
- サンプリングネタをより本物っぽく:サンプルにDustやScratch足せば「レコ屋で掘ったネタ!」みたいな生々しさ出せる。
- トランジション用:サビ前とかでWear/Dustを自動化(オートメーション設定)して、盛り上げ→急にクリアに戻すとインパクト。
- 全体ミックスに:全体バスやマスターにVinylをうっすらかけて、本物のDJが回してるっぽいエフェクトも狙える。Scratchでスクラッチ風味もいける。
ミキシング時の注意ポイント
- やりすぎ注意:Vinyl上げ過ぎると全体がもやっとして聴きにくくなる。「ちょい足し」が基本。
- ハイパスでノイズの低域カット:Vinylで増えたローのゴロゴロノイズは、EQのハイパスフィルター(低域カット)で整理しよう。
- パンでスペース確保:複数トラックにVinylを使う時は左右に振って重ならないように。
- 音量自動化:Vinylは音量も揺れるから、DAWのボリュームオートメーションで整えよう。
- オンオフ比較を忘れずに:Vinylをたまにバイパスして「ノーエフェクト時」と比較してチェック。やり過ぎたら引き算しよう。
こんな感じでiZotope Vinylを使いこなせば、トラックが一気に “古き良き” エモさとグルーヴ感で満たされる。コツは「控えめ」に足していくこと。遊び心あるパラメータいじりで、自分だけのローファイサウンドを作ろう。
著者について

Genx
1982年生まれ、日本人のビートメイカー・音楽プロデューサー。実験的なヒップホップビートを制作。国際的な環境で育ったため英語が話せる。趣味は筋トレ、アートワーク制作、ウェブサイトカスタマイズ、Web3。韓国が大好き。
ウェブサイト:genxrecords.xyz