数字を超えて――ビートメイカーが本当に追うべきもの

数字を超えて――ビートメイカーが本当に追うべきもの

音楽業界、とくにビートメイカーとしてやっていると、SNSやYouTubeをスクロールするたびに広告、チュートリアル、“ビートをもっと売る秘訣”みたいな話ばかり。「これで初めての1,000ドルをオンラインで稼げる!」とか「こうやればビート販売で食っていける!」みたいなノリ。もちろん音楽でお金を稼ぐことも重要。スタジオや機材、夢を支えるには金が要る。でも、最近ふと思うことがある――それだけじゃないんじゃないか? 曲作りって本当に売上のためだけなのか? もっと深い意味があったはずじゃないか?

視点を変えて、数字とか売上を超えたところで、本当に大事なことについて話したい。

マネーマインドの罠

最初から“成功”=大きく稼ぐ、有名になる、メジャーアーティストへの曲提供、みたいな話ばっかり。いつも「ビートいくらで売れる?」とか「どうやって音で稼ぐか?」が議論の中心。気づけば、稼ぎで自分や自分の音楽の価値を測っちゃいがち。

でも、それが究極のゴールなのか? 売ることだけに集中すると、最初にビートメイクにハマった理由やワクワクを忘れてしまう。

お金だけじゃない音楽の価値

正直に言うと、どんなにイケてるビートでも全部が売れるわけじゃない。そして、売れなかったから無価値ってわけでもない。音楽は表現であり、つながりであり、エネルギー。作る楽しさ、誰かにインスピレーションを与える瞬間、コミュニティを築いていくこと――これらはお金では買えない。

アーティストと愛だけでコラボした時や、「君のビートで歌詞が浮かんだ」とメッセージをもらった時。あの瞬間こそがプライスレス。

ビートメイカーが本当に注目すべきもの

もし売上だけが目標じゃないとしたら、何を原動力にすればいい?

1. 純粋な音楽愛

とにかく音楽への愛を真ん中に置く。自分がワクワクするビートを作る。新しい音やジャンルで遊ぶ。その情熱がビッグセールにつながることもあるけど、そうならなくても創造性と旅の喜びは続いていく。

2. 本物のつながりを築く

ビートの世界は人間関係のゲームでもある。他のプロデューサーやアーティスト、ファンとつながる。ただビジネスのためだけじゃなく、本気のコラボや成長のために。そこで生まれる友情やクリエイティブな絆は、一度のセールよりずっと残る。

3. 自分自身の成長

スキルアップにこだわる理由は、お金のためだけじゃない。最高の自分に近づくため。新ジャンルに挑戦、DAW使い倒す、楽器も学ぶ。どんな一歩も財産だし、それが必ずしも金になるかどうかは関係ない。

“売る”の向こう側で生きる

もちろん金は大事。投資の源だし、音楽を続けるための手段。でも、“次の売上”だけを追いかけていると、ビートメイカーとしての本当の喜びや報酬を見落とすことがある。自分に問いかけてみてほしい。本当に大事なことは何なのか? 本物の音楽を作れているか? 自分が誇れるレガシーを残せているか?

結論:ビートを作り、意味を作れ

世の中は売上や数字に目を向けさせてくるけど、ビートメイカーとしての成功は自分自身で決められる。もちろん稼ぐことも目指していい。でも情熱やつながり、成長を見失わずに突き進むこと。

「なぜビートを作り始めたのか?」――その答えを心の軸に。自分らしい人生と音楽のカタログを積み重ねろ。そこに本当の魔法が宿る。

著者について

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Genx
1982年生まれ、日本人のビートメイカー・音楽プロデューサー。実験的なヒップホップビートを制作。国際的な環境で育ったため英語が話せる。趣味は筋トレ、アートワーク制作、ウェブサイトカスタマイズ、Web3。韓国が大好き。
ウェブサイト:genxrecords.xyz

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