Suno v4.5の課題:楽器分離の甘さ・音の濁り・帯域マスキングへの対処法

目次
Suno v4.5は速度やジャンル判別、プロンプト制御が進化した一方、楽器分離の甘さ、音の濁り、マスキング問題が現状でも起きている。
主な問題点
楽器分離とマスキング
- ステム分離機能は完全ではなく、楽器同士が混ざって分離できていない状態になりやすい。ステム編集しても内容が曖昧。
- Sunoは多くの場合、ステレオデータをAI分離アルゴリズムで加工している。SpectraLayersなどと近い方式で、本当にマルチトラックで生成しているわけではなく、似た帯域の楽器の分離に限界が生じている。
音像の濁り・加工しすぎ
- ベースやキックが被って音がもやもやする、低域が過剰になることが多い。理由はコンプのかけ過ぎ、リバーブ多用、分離不足など。
- アレンジが複雑になるほど、各要素の透明感が消え、メロディやリズムが曖昧になる傾向が強い。
プロンプト精度
- 音楽のスタイルや要素を細かく1000字程度指定できるが、曖昧で短いプロンプトだと平凡で分離の悪い、つまらないトラックになりやすい。
技術的原因
問題 | 説明 | 根本要因 |
---|---|---|
低域の濁り | ベースとキックが重なる、他を圧倒する | コンプ過多、リバーブ多用、マスキング |
メロディ分離の不十分 | リード楽器やボーカルが埋もれる | 分離アルゴリズムの弱さ、ミックスが忙しい |
帯域マスキング | 似た帯域の楽器同士が聞き分け難い | マルチトラック生成でない、ミックス内で重複 |
対策と工夫
- プロンプトで楽器の役割・配置・分離感を明確に指示(例:「クリアなピアノメロディ、装飾少なめのパンチあるドラム、前に出る乾いたボーカル」を明記)。
- Ozone、CloudBounce、Diktatorial Suiteなどの外部マスタリングで濁りや歪みを除去。Izotope RXやUnchirpなどはマスキング除去やデジタルアーティファクト修正も可。
- ステム(楽器別トラック)を書き出してDAW上でEQや音量、コンプを細かく調整すればコントロール性は上がる。
- 曲をセクション(Aメロ、サビ、ブリッジなど)単位で分割生成し、必要に応じて手作業でつなげると全体の濁りを緩和可能。
- v4.5で生成→v4以前のアルゴリズムでリマスターしてクリア感だけ拾う方法も一部で有効。
- ジャンルやアレンジ次第で限界あり。複雑・密度の高い楽曲やジャンルは追加編集が不可欠。
問題と解決まとめ
問題 | 症状 | 解決策 |
---|---|---|
ミックスの濁り | 楽器・要素が混ざって不明瞭 | EQ/ポストプロセス/詳細プロンプト |
帯域マスキング | 楽器の音色の識別が難しい | ステム編集/ジャンル・密度調整 |
メロディ埋没 | リードが浮かず埋もれる | 明確な指示/ボーカルダブル/ミックス調整 |
コミュニティの声
- Suno生成を複数重ねて混ぜると、ボーカルやメロディの分離が改善する例もあるが、DAWで注意深く編集が必要。
- ローファイやアンビエント、シンプルなアレンジでは現状の制限が逆にジャンル特有の味になることも多い。
まとめ
Suno v4.5は自由度やジャンル幅が広がったが、楽器分離・濁り・マスキングの課題は残る。プロ並みの音を求めるなら細かいプロンプト制御と外部編集は必須。
著者について

Genx
1982年生まれ、日本人のビートメイカー・音楽プロデューサー。実験的なヒップホップビートを制作。国際的な環境で育ったため英語が話せる。趣味は筋トレ、アートワーク制作、ウェブサイトカスタマイズ、Web3。韓国が大好き。
ウェブサイト:genxrecords.xyz