全員にビートを好きになってもらう必要はない ― 本当に響く相手にフォーカスしよう

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ビートメイカーやってると、全てのアーティストやラッパー、プロデューサーに自分の音を好きになってほしくなる。でも、みんなにウケようとするのは無理なだけじゃなく、自分のブランドや創造性、ビジネスに逆効果になることもある。
なぜ「みんなのお気に入り」になる必要はないのか
アーティストはそれぞれ独自のスタイルやビジョン、雰囲気を持ってる。トラップの激しいドラムが好きな人、R&Bのスムースなグルーヴを求める人、実験的なサウンドを探してる人。どんだけ多才でも、全ての好みに応えるのは不可能。トレンドばかり追いかけたり、売れるためだけに他人のコピーを続けていると、自分だけの個性を失う危険がある。
音楽もビジネスも、全員の承認を求めると消耗する。自分のクリエイティブな判断に自信を持てなくなったり、サウンドが薄まったり、みんなを満足させられないことでストレスになる。そうしたら、熱心でロイヤルなファンを築くどころか、なんとなく興味あるだけの人達ばかり増えてしまう。
「悪貨は良貨を駆逐する」ビート業界
昔から「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉がある。ビート販売の世界でも、誰にでもウケようとすると、間違った客層ばかり引き寄せることになる。本気で君の作品をリスペクトしない人、無料で作ってと言ってくる人、自分の好みに合わせてスタイルを変えろと言う人。こうしたクライアントはエネルギーを奪い、本当に響くアーティストとの制作から遠ざけてしまう。
そういう人たちの声に影響されると、せっかくの個性も消えていく。元々ファンだった人たちも違和感を覚えて離れていき、気づけば平凡でつまらないブランドになってしまう。
「自分の部族」を作ろう ― 自分の音に共感するアーティストと繋がる
「みんなの人気者」になろうとする代わりに、本当に自分のビートに共感してくれるアーティストと深い関係を築くほうがいい。そういう人たちこそ、最大のサポーター、コラボ仲間、リピーターになっていく。本音で自分のサウンドとビジョンを貫くことで、君の個性を評価するアーティストが集まってくる。それこそが本当のマジック。
自分のスタイルや価値観に合わない仕事やクライアントには、はっきり断っていい。クリエイティブなエネルギーに境界線を引き、本当にインスパイアされるコラボに力を注ぐ。
結論:オリジナルな音こそ武器
全員にビートを気に入ってもらう必要はない。むしろ、それを望んではいけない。成功しているプロデューサーやビートメイカーは、自分だけの世界観で道を切り開き、オリジナルなサウンドに共感するコミュニティを作ってきた。
好きなものを作り続ければいい。本物であり続けよう。心から響くアーティストと繋がろう。中途半端なファンの大群より、熱烈な少数のファンがいればそれでいい。
自分のサウンドを守っていれば、自然と「部族」は集まってくる。
著者について

Genx
1982年生まれ、日本人のビートメイカー・音楽プロデューサー。実験的なヒップホップビートを制作。国際的な環境で育ったため英語が話せる。趣味は筋トレ、アートワーク制作、ウェブサイトカスタマイズ、Web3。韓国が大好き。
ウェブサイト:genxrecords.xyz