多くのビートメイカーの問題は、意図を決めずにビートを作るところにあります。
「かっこいいビートができた」
「そう。じゃそのビートどうするの?」
「う〜ん、じゃとりあえずSNSに乗せるか。」
こんな感じで作っても全くと言って意味がないんですね。意図がないビートはゴミだと思ってください。
意図するかしないかは成功するか失敗するかの分かれ道
例えば、とあるアーティストとコラボしたいなら、そのアーティストが好きそうなメロディーラインを入れるとか、ラップが入りやすいようにドラムやベースに隙間を入れてあげるとか、意図さえ設定すればいくらでも配慮することはできます。
しかし、意図を設定しなければ、ビートがかっこよくてもラップは入らなかったり、ベースが邪魔してボーカルが入れられなかったりして、誰にとっても使えないビートが出来上がってしまうわけです。
意図がないビートは聞いた瞬間に分かります。このビートメイカーは意図を設定せずに、テキトーに流れのままにこのビートを作ったなと。そんなビートを量産してもどうにもならないわけですし、単なる自己満足で終わってしまうのです。
だからビートを作るときは意図して作ってください。別の言い方をすると「出口」を決めるようにしてください。
私の場合は「ビートメイキングのノウハウ系記事に紹介できるビート」または「アーティストに提供するためのビート」、またはその両方を出口に設定しています。ですから、ビートを一つ作る度に私の資産が増えていくわけです。
一つのビートを作れば、ノウハウ記事が書けて、その記事にアクセスを集めて世界中のビートメイカーに教えることができますし、同じビートをアーティストに提供することで、歌やラップを吹き込むことができるようになります。一石二鳥ですね。
ビートを資産化する
以前は「インストゥルメンタルヒップホップのアルバムを完成させる」という意図を設定してビート制作していた時期がありました。これはあまり良い出口設定ではなかったと今だから言えます。
理由は複数ありますが、一つ目は「インストゥルメンタルヒップホップ」を制作するということは、ビートメイカーが自分自身をアーティスト化して売っているということになるので、ターゲットとする顧客を自分自身で狭めてしまっていることになるのです。これについてはミュージックプロデューサーにとっての顧客を知ることで詳しく解説していますので、そちらを参照してください。
二つ目は、「インストゥルメンタルヒップホップ」はトラック自体が既に完成品ですから、アーティストが入り込む余地もありませんので、あくまでもリスニング用途に限定されてしまうわけです。リスニングにしか使えないということは、雑誌のコンテンツのようにどんどん古くなっていき、最終的には忘れさられてしまうということになります。
先ほど説明したように、「記事で紹介できるビート」、や「アーティストに提供できるビート」として制作すれば、3年経っても5年経っても10年経っても、そのビートはまだ役割を果たすことができますが、インストゥルメンタルヒップホップとしてリリースしてしまうと、あくまでも「作品」として公開することになってしまうので、3年後、5年後、10年後に思い出してもらおうと思ってもなかなか難しい話なのです。
ですから、ビートを資産としてずっと機能させるためには、時間が経っても古くならない出口設定にした方が良いと、私の経験上言えるのです。
よく覚えておきましょう。