上手いトレーダーになるための心構え

渋谷駅で大量の傘を売りさばく商人からトレードを学ぶ

大昔の話ですが、渋谷駅の改札を抜けて外に出ようとしたら、夕立が思いっきり降っていることに気づき、どうしようかなと思っていたところにちょうど大量のビニール傘を売っている商人を発見しました。今回はこの商人から学んだことを綴っていきます。

彼は確か、傘一本辺り700円というアンビリーバボーなオファーを掲げていましたが、保有していた傘がみるみるうちに売れていく光景をこの目で見ました。そして、10分も経たないうちに保有していた全ての傘(おそらく200本はあった)を売りさばき、彼は満足げに空の台車とともに去っていきました。この日、私は心の中で彼に「ナイス・トレーダー・オブ・ザ・デー」のトロフィーをあげました。

彼は200本のビニール傘を安値で仕入れ、大雨が降るのを信じて待ち続け、「今日こそ大雨が降るぞ!」という日に、台車いっぱいの傘を渋谷駅に持って行き、ちょうど雨が降り出したときに、改札前で突然「700円の売り指し値」を入れたわけです。すると、なんとこのオファーに対して大量の約定が発生して、一瞬にしてセルウォールが消えてなくなったのです。トレードに当てはめるとこんな感じですよね。

何よりも、私は彼の700円という絶妙な価格付けに本当に感心しました。コンビニに行けば500円で傘は買えるけれど、コンビニに行くまでに相当濡れてしまうから、200円上乗せしても絶対に売れると見た、彼の推理能力に感服しました。

ここで、この商人の行動だけを見て、「私も同じことを今からやってみよう」と真似をする商人になってはいけないのです。なぜなら、雨が降り出してから傘を仕入れてもワンテンポもツーテンポも遅いからです。コンビニで傘を全て買い取って、駅に持っていって、700円で売ることもできますが、それだとコンビニに置いてある傘の在庫分が販売数の上限となりますし、さらにコンビニに行っている間に雨が止んでしまうかも知れません。

多くの人はトレードの世界で、この商人を真似しようと思い、コンビニで一本500円の傘を20本買った後、雨が止んでいることに気づき、在庫を保有している自分を責め、落ち込み、一本300円でも良いからこんな傘は要らないと投げ売りしたりします。だったら最初から一本500円で20本も買うな!ということです。

この商人のように、完全なる意図を持ち、リスクを取り安値で大量買いしておき、雨が降ることを心から信じ、ベストタイミングまで待ち、ここぞというときにベストオファー「700円」を掲げることで大量に売れ、純利益を最大化できるわけです。

多くの人は彼が大量の傘を販売しているところだけを見て「この人はいいな〜。タイミングよく傘を大量に持っていて」と思いますが、彼がタイミング良く大量の傘を持っていることに感心している場合ではないのです。本当にすごいのは彼の意図であり、自分を信じる力であり、在庫を抱えながらでも辛抱強く待つことができる力です。うわべだけを見るのはやめて、その奥にある大切な部分を見るようにしましょう。

だからこそ今日から「いいな〜」と思うのはやめましょう。意図を持つこと、自分を信じること、ベストなタイミングまで辛抱強く待つことができる、そういう人間でありましょう。

いまでもたまに思い出しますが、彼は本当に完璧なまでの商人でした。