BitShares上級編

BitSharesのUser Issued Assets(UIA)の仕組み

BitSharesのインフラにはUser Issued AssetsUIA)という仕組みがあります。

User Issued AssetsとはBitShares内でユーザーが無からアセットをトークンという形で発行することができるものです。

似たような仕組みでProto-DACというものがありますが、Proto-DACではBitSharesとは独立したブロックチェーンを新たに立ち上げ、「BitSharesのクローン」を発行するといった大規模なものですが、User Issued Assetsの場合はBitSharesブロックチェーンをそのまま使ってアセットの管理、及び取引を可能にしたものです。

発行できるアセットには二つのクラスがあり、「IOU」という形態、または「株式/証券のようなアセット」という形態で存在することができます。

では、User Issued Assetsのトークンをそれぞれのクラスでどのように応用していくことができるのかを解説していきます。

「IOU」を発行してブロックチェーンで管理することができる

「ユーザーがアセットをトークンとして発行できる」といった表現をすると、とても難しいことをしているように聞こえますが、トークンを発行することの歴史はとても古く、世界を見渡してみれば日々身の回りで起きていることが分かります。

例えば、ある航空会社を利用すれば、航空会社はあなたに「マイル」を発行してくれたりします。マイルを貯め続ければ、貯まった時点で1回無料で搭乗することができます。

また、とある飲食店を利用したら、お店はあなたに「割引券」を発行してくれたりします。次回利用時にその割引券を差し出せば、会計から割引きしてくれるので、実質現金と同じ価値を持ちます。

したがって、マイルや割引券は企業が「無から作りあげたIOUトークン」だと言えるのです。

無から作りあげたものでありながら、それをもらった人はそのIOUに価値があると考えます。

では、なぜ人はそのIOUに価値があると考えるのでしょうか?

理由は簡単で、利用者は発行者のことを「信用」しているからです。

この割引券を別の人に譲渡したとしても、その割引券を発行したお店に持っていけば、(お店が潰れてしまっていない限り)会計時に使うことができます。

つまり、IOUを発行者に渡せば、約束したことを履行してくれると分かっている限りIOUに価値が生まれ、仕組みが成り立つのです。

このようにIOUは誰でも発行できますが、IOUを紙ベースや独自の帳簿で管理するのではなく、BitSharesブロックチェーン上で立ち上げて管理しましょうというものがUser Issued Assetなのです。

IOUブロックチェーン上で管理することで、誰がどれくらいのIOUを持っていることが分かります。また、IOU非中央集権型取引所で取引できるようになります。

例えば、「お店から割引券をもらったけど、引っ越すからもうそのお店を利用することはない」といったシチュエーションになったときにBitShares非中央集権型取引所でその割引券を売却することができるのです。

「株式/証券のようなアセット」を発行してブロックチェーンで管理することができる

User Issued Assetsの仕組みを応用すれば「IOU」を発行するのではなく、「株式/証券のようなアセット」を発行することも可能です。

個人や中小企業が「株式/証券のようなアセット」を発行するのは資金調達が必要な場合です。クラウドファンディング等が良い例です。

ただ、クラウドファンディングを通した資金調達はグレーゾーンの取引と言えます。

なぜなら、クラウドファンディングで資金調達をした場合、その後ちゃんとプロジェクトを予定通り進めているのか、資金を持ってバックれてはいないかなど様々な部分を心配しなければならないからです。

また、資金調達の際に発行しているものが「株式/証券なのかどうか」の解釈がとても大切になってきます。

もし「証券」を発行しているという解釈になれば、多くの国では、その行為自体に多くの規制やルールがあるため、問題になる可能性があります。例えば、米国ではSECという団体がクラウドファンディングを通した資金調達の中に違法性がないか目を光らせています。

「株式」を発行するということなら、発行者は誰で株主は誰で、それぞれの人がどれだけの株式を持っているかということを明確に把握できないといけないということ、また裁判所命令があればいつでも株式/証券を差し押さえることができなければならないと言ったようなルールがあります。

User Issued Assetsではトークンを「株式/証券ようなアセット」として発行した場合でも、ブロックチェーンを見れば、誰がどれだけのアセットを持っているかが分かります。また、User Issued Assetsは発行者の権限でUser Issued Assetsを差し押さえることができる設定にすることができるので、法律に準拠することが可能なのです。

(配布したUser Issued Assetsを差し押さえたら、ブロックチェーンに履歴が残るので、適切なルールのもとでやらないと発行者の信用は地の底に落ちるので注意しましょう!)

ブロックチェーン・テクノロジーを使っているのに、人の資産を差し押さえることができるなんてブロックチェーン・テクノロジーの理念に反している!」と思われるかも知れませんが、BitSharesの開発者達はUser Issued Assetsという信用ベースで運営できる仕組みを作ったことで、現行のクラウドファンディングのグレーな部分などを合法的に取り組んでいけるような仕組みに置き換えていこう、と試みているわけです。

そういう意味で、BitSharesの開発者達の前向きな姿勢は素晴らしいなと感じます。

User Issued AssetsBitUSDBitBTCなどのスマートコインは明確に区別されています。

User Issued Assetsは発行者がいますが、スマートコインには特定の発行者がいません。

発行者が差し押さえることができる設定を施すことができるのはUser Issued Assetだけです。

スマートコインには特定の発行者がいないので、カウンターパーティ・リスクはありません。

User Issued Assetsのすごいところ

User Issued Assetsの仕組みを使わずに、「IOU」や「株式/証券のようなアセット」を発行し、それを取引できるようにしたいという企業が現れた場合、多くの場合、中央集権型取引所に頼る必要があります。

中央集権型取引所に銘柄をリスティングしてもらうことをお願いするしか方法はありませんし、また取引をする際も取引所の独自の帳簿を使って銘柄の取引状況を管理しなければいけないので、透明性がありませんし、不正が起きていても分かりません。

そもそも個人や中小企業なら中央集権型取引所に銘柄をリスティングしてもらうだけでも大変難しいことですし、リスティングしてもらったとしても取引所が不正をしていたりGoxするリスクもあります。したがって、User Issued Assetの仕組みを使わなければ、「IOU」や「株式/証券のようなアセット」がデフォルトするリスクと取引所がデフォルトするリスク、この二つのカウンターパーティ・リスクに向き合わなければなりません。

しかし、BitSharesUser Issued Assetsの機能を利用してアセットブロックチェーンで管理するようにすれば、今まで不可能に近かった「取引所にリスティングしてもらう」ということが簡単にできるようになるのです。

中央集権型取引所にリスティングしてもらわなくても、BitShares内の非中央集権型取引所で直接取引することができるようになります。非中央集権型取引所ならばそもそも潰れる心配がありませんので、二つのカウンターパーティー・リスクのうち、一つはなくなることになります。

分かりやすく言えば、取引所の機能を1から開発しなくても取引所の機能を誰でも使うことができると考えて頂ければ良いと思います。

また、User Issued Assetsを取引するときはBTS以外にもBitUSDなどのスマートコインで行うこともできます。BTSBitUSDIOUではないため、BTSBitUSDを持っている間はカウンターパーティ・リスクを気にせずに取引することができます。

唯一心配する必要があるのは、User Issued Assetsの発行元に関わるカウンターパーティ・リスクです。ただ、User Issued Assetsの発行元を信用できないのなら、そもそも取引対象にするべきではありませんし、デフォルトしてしまったらそれはあなたの判断が間違っていたとしか言いようがありません。投資の世界では投資先を間違えることは「自己責任」になってしまいますので、お金を投入する前にちゃんと考えるようにしてください。

まとめ

User Issued Assetsはアイデアによって可能性は無限大です。あなたのスキルを証券化して、あなた自身の将来性に応じて価値が上がっていくようなトークンを作るようなことも可能になるのです。例えば、あなたが本を執筆したいのなら、本の所有権を証券化し、User Issued Assetsで発行すると面白いかも知れません。本が売れれば売れるほど、トークンの価値が上がると言った具合です。

User Issued Assetsカウンターパーティ・リスクを極限まで減らしながら、個人や中小企業などの小さなプレイヤーでもトークンを発行し自由自在に取引でき、しかもその取引の媒体にスマートコインを使うことができるという意味で、革新的な仕組みなのです。

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